FatGecko MINI プロフェッショナルレビュー
FatGecko Miniで撮影する上海摩天楼担当 礒村浩一
だがいままではカメラを固定することさえ諦めていた場所で安定したカメラマウントを使用できるメリットはとても大きいといえる。「FATTGECKO Mini」本体は折り畳めば500mlペットボトル程度のサイズとなるので、スーツケースの片隅に入れておくと安心だ。工夫しだいでは小型三脚と同等の使用法も考えられるので、どうしても三脚を持っていくのは、、、という人にもお勧めできる製品といえるだろう。
アジア初の万国博覧会開催で注目されている中国の上海は、アジア経済において東京とならび重要な大都市のひとつである。特に近年における中国の経済発展は目覚ましく、それに伴う上海の景気はかつての日本のバブル期を超えると言われるほどだ。そんな万博開催直前の熱気のこもった上海の夜景を撮影するべく、私はカメラを携え訪れることにした。
空前の好景気に湧く上海の夜景は、天空を突くように立ち並ぶきらびやかな超高層ビルと、戦前から残る異国情緒あふれる石造りの建物をライトアップした明かりであふれていた。時に「魔都」と形容されることさえあるというその光景は、いまだかつて見た事の無いほどの独特で不思議な雰囲気を醸し出していた。まさに「摩天楼」とはこういう光景なのだろうと感心するばかりである。
今回の目的である夜景撮影はご存知の通りカメラのシャッター速度を遅くするスローシャッター撮影となる。当然手持ちカメラではぶれてしまうので、しっかり とした三脚にカメラを固定しての撮影となる。よく旅行に行くときに三脚を持っていくことを躊躇するということを耳にするのだが、もしも旅行先で夜景撮影を したいと思っているのならば、重くて面倒でも必ず三脚は持っていかれる事をお勧めする。三脚を使用するかどうかで写真の仕上がりに大きく差がでるからだ。 最近ではトラベル向けの軽量三脚も発売されているのでそちらを選択してもよいだろう。
「FatGecko Mini」は強力な吸盤でカメラを固定するカメラステーだ。これなら三脚を使用できない場所でもで大きな吸盤で窓ガラスにしっかりと吸着してくれるので安心してカメラをマウントさせることができる。柔らかいラバー製の吸盤なので誤ってガラスにキズを付けてしまうこともない。それにコンパクトな「FATTGECKO Mini」なら現場でもあまり目立たずにいられる。三脚を使用しての撮影にくらべてスマートでいられるので、店舗などの管理者に気を使う場所での撮影に向いているのだ。もちろん吸盤の吸着力はとても強力だが取り付け部が汚れていたり極端に重いカメラをマウントした場合などは外れて落下してしまう恐れもある。必ず保険としてカメラストラップを手に持つなどして不慮の落下には十分に注意する必要はある。だがいままではカメラを固定することさえ諦めていた場所で安定したカメラマウントを使用できるメリットはとても大きいといえる。「FATTGECKO Mini」本体は折り畳めば500mlペットボトル程度のサイズとなるので、スーツケースの片隅に入れておくと安心だ。工夫しだいでは小型三脚と同等の使用法も考えられるので、どうしても三脚を持っていくのは、、、という人にもお勧めできる製品といえるだろう。
上海で一番高いビル「上海環球金融中心(森ビル)」の100階展望台から「東方明珠電視塔」を望む。当然ながらコンパクトデジカメなら軽々と固定してしまう。
同じく「上海環球金融中心」100階展望台より撮影。EOS 5D MarkⅡ+EF24-105mm F4L IS USMの組み合わせ(約1.5kg)でも問題なく安定して撮影が可能。ただし標準のアームでは短くてレンズの先端がガラスに当たってしまうので、付属の延長アームを使用する必要がある。
「東方明珠電視塔」を中心とした摩天楼群が立ち並ぶ浦東新区を、対岸に建つ高層ホテルのバーより撮影。まるで天空に浮かぶ光の島のようだ。
バーの窓に「FATTGECKO Mini」を張付けて撮影しているところ。三脚とは違いコンパクトな撮影が可能なので、大げさにならず目立たずに済む。ガラスに店内の灯りが映り込む場合は体の影や黒っぽい布などで「FATTGECKO Mini」ごとカメラを包み込むようにすると良い。
タクシーの助手席に座り「FATTGECKO Mini」をフロントウインドー上部に貼付けて撮影。カメラをスローシャッターにして流れ行く街の灯りを映し込む。幻想的なシーンとなった。
「FatGecko Mini」は平滑なテーブルなどに吸着させることでミニ三脚替わりにもなる。とても安定して使えるので小物撮影などにとても便利だ。
注意
「FatGecko Mini」を使用して車の内外にカメラ等を取り付けて走行することは日本国内だけでなく、多くの国でも道路交通法により厳しい規制がある。使用の際には現地の道交法を確認して自己責任のうえで安全に配慮するようにしよう。
以上
礒村浩一 フォトグラファー 1967年生まれ 東京写真専門学校(現 東京ビジュアルアーツ)を卒業後、広告写真プロダクションを経てフリーとして独立。現在、礒村写真事務所代表。 雑誌、広告写真を中心に人物、商品、建築、舞台等多方面の撮影を行う。朝日新聞社刊アサヒカメラデジタル、インプレスジャパン社刊デジタルカメラマガジンなどカメラ雑誌やWebにおいて写真撮影と記事執筆を担当。人物のレポート記事では写真と文字の両面からのアプローチで、被写体の内面に迫ると定評を得る。Photoshopによるレタッチの解説本も執筆。セミナーなどでは撮影指導も行う。近年は人と自然の繋がりをテーマに作品を製作。各地で精力的な撮影を行う。生来の新しい物好きが高じて新製品デジカメ&ムービーカメラのレビューの発表も多数。常に最新の動向に目を光らす |
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