CF用カードリーダの選び方
デジタル一眼レフカメラは続々と新しいモデルが発売され一眼レフカメラでの動画撮影も当たり前の時代となってきました。 SDカードは大容量化、高速化の実現により、デジタル一眼レフカメラでの主力メディアであったCFからその座を奪いつつあります。更に上位機種のカメラはCFast対応へ移しつつあります。
一方、CF(コンパクトフラッシュ)はというと、こちらも大容量化、高速化が進んでいます。 2009年に入って533倍速、600倍速などUDMA6対応の製品が、2010年には UDMAモード7(1113倍速 167MB/s)対応CFが各メーカーからリリースされています。
しかしながら今後CF自体に大きな進歩は望めない状況のようです。
さて、カードリーダを購入しようとした場合、毎回泣かされるのがメディアの規格の進歩が速すぎて手持ちのカードリーダがすぐに陳腐化してしまうことでした。
この点で見ればCFカードに関する限り、ハイエンドのユーザの皆様はUDMA7対応品を選択すれば将来的にも使い続けることができるでしょう。
カードリーダの購入を検討中のお客様はご自身の使い方、カメラにあった最適なCFを選ぶ上で参考にしてください。
CF(コンパクトフラッシュ)をもっと知ろう
2007年頃よりコンパクトフラッシュメディアメーカー各社がUDMAモード5対応、300倍速、転送速度45MB/sというスペックの高速CFカードを次々に発表してきました。
UDMA (Ultra Direct Memory Access) とはCPUを介さないデータ転送方式の一つで、2006年に策定された規格上はモード0からモード6まであります。 UDMA以前の仕様としてはPIO転送方式のものが主流で、一部のメディアでmultiword DMAとよばれる方式も使われています。
その後、2010年にUDMAモード7(1113倍速167MB/s)が追加されています。
現在はCFはその大容量を生かして、デジタル一眼レフカメラなどに使用されています。 以前はニコン・キヤノンなどが作るデジタルコンパクトカメラにも採用されていたが、今ではその地位をSDカードに譲っています。
2017年現在、デジタル一眼レフカメラの新機種では、SDカードが主流であり、またCFとSDカードのデュアルスロットを装備した機種も数多く存在しています。 上位機種ではCFastカードの採用も進んでいます。
転送モード | 理論上転送速度 | 実質転送速度 | 備考 |
PIO mode6 | 25MB/s | 8~15MB/s | 一般的な166倍速CF |
Multiword DMAモード4 | 25MB/s | 18~20MB/s | ExtreamIII |
UDMAモード4 | 66.6MB/s | 38~40MB/s | Extream4など266倍速CF 1Ds markIII, 50Dなど |
UDMAモード5 | 100MB/s | 40~45MB/s | Delkin UDMA PRO, DUCATIなど300倍速CF D300, D3, α700など |
UDMAモード6 | 133.3MB/s | 60~90MB/s | 500~600倍速CF 5DmarkII, 7D |
UDMAモード7 | 167MB/s | 90MB/s~ | 1000~1050倍速CF D800, D4S. 1DmarkIIIなど |
皆様がデジタルカメラで使うCFを選ぶ上では「カメラとの相性」「メーカーの評判」「信頼性」「価格」「性能」など様々な要素から判断されることが重要なのは言うまでもありませんが、ここでは「性能」特にデータの転送速度のみについて書いてみます。
CFに限らずフラッシュメモリー製品ではメディアへの書き込み速度(ライト)と読み出し速度(リード)がもっとも重要になります。
CFにはNANDフラッシュメモリーが使われていますがNANDフラッシュには1つのセルで1bitの記録を行なうSLC NANDフラッシュメモリーと、1つのセルに2bitの記録を行うMLC NANDフラッシュメモリーの2種類があります。MLCフラッシュメモリーの方が安くできるのが大きなメリットですが、信頼性や性能、特にライト速度ではSLCフラッシュメモリーに大きく劣ります。 高速のCFの中でもリード速度の半分くらいしかライト速度が出ないタイプのCFはこのMLCフラッシュを使用したものです。
基本はカメラの仕様によりますが「せっかく300倍速のCFを使ってもバッファリングの待ち時間が全然変わらない」とかならないようにライト速度はしっかりとチェックしてください。
CFのリード速度は速ければ早いほどCFからPCへのデータのコピー時間が短くなります。リード速度は16GB, 32GBなど容量が大きくなるとコピー時間も大変長くなるので重要なポイントです。PCへの取り込みにはカードリーダ・アダプタが使われますが、重要なのは高速規格に対応した製品を選ぶことです。
CF用カードリーダの種類
このようなCFの進化に伴いCFのデータをPCに取り込む為のカードリーダも進化してきました。
市場で一般的に販売されているUSBカードリーダはほとんどの物がUSB3.0 対応、UDMA7対応という仕様になってきています。
USB2.0インターフェイスは汎用性に富んでいる代わりにWindows標準の「マスストレージクラス」のデバイスドライバの影響で高速なデータ転送がむずかしく、標準ドライバ使用を前提でみれば転送速度(データリード)30MB/sが限界となっています。 USB3.0インターフェイスではそれらの制約がなくなりCFのパフォーマンスをフルに使うことができるようようになってきました。
一方、2000年代半ばより実用化がはじまったPCIe外部インターフェイスはエクスプレスカードスロットとしてノートPCの外部インターフェイス(特にストレージ)の標準となりました。 初期に発売されたエクスプレスカード型のカードリーダ製品は電気的にUSB2.0が採用されており転送速度に同様の制約を受けていました。その後PCIeインターフェイスを採用したものがリリースされ、UDMA5対応CFのリリースと相まって一気に45MB/sのデータリードが実現するようになりました。 しかし、残念ながらその後エクスプレスカードスロットは徐々に搭載されなくなってしまいました。
2009年に入ってUDMAモード6対応のCF(500~600倍速)がリリース開始されました。データ転送速度(リード)は60MB/s~90MB/sと一気に高速化されました。当時このようなUDMA5,6クラスのCFのパフォーマンスを最大限有効利用しようとした場合、PCIe(エクスプレスカード)またはIEEE1394インターフェイスのカードリーダが必要でした。
2011年に入ってUSB3.0インターフェイスのカードリーダが実用化され、高速フラッシュメディアのデータ転送のボトルネックとなっていたホスト-端末間のデータ転送速度が一気に最大5Gbpsまで高まりました。
2014年にはCFはUDMA7が、SDカードにはUHS-IIという新しい規格が実用化されました。 USB3.0との組み合わせで実質の転送速度は飛躍的に向上しました。